実務
前進するコミュニケーションとは?
提案・宣言・質問・結論で組織が動く方法
この記事の要点
「前進するコミュニケーション」とは、組織やチームを建設的に動かす言葉の使い方です。逆に「後退するコミュニケーション」は停滞を生みます。この記事では、具体的なフレーズ、場面別のサンプル、実践チェックリストまで、すぐ使える形で解説します。
前進 vs 後退 — 比較表
前進するコミュニケーション
- 提案:改善案や代替案を示す
- 宣言:責任や期限を明確にする
- 質問:相手の意図や背景を探る
- 結論:次のアクションを定める
後退するコミュニケーション
- 不満:問題点だけを列挙する
- 文句:感情的な愚痴
- 否定:アイデアを即座に否定する
- 感想:具体性がなく行動につながらない
| 観点 | 前進 | 後退 |
|---|---|---|
| 目的 | 解決・行動・改善 | 不満の発散・批判 |
| 受け手の感情 | 協力的・主体的 | 防御的・放棄的 |
| 結果 | 次の一手が決まる | 会話がループする |
前進する4つの技法(具体例付き)
① 提案(Suggestion)
問題を指摘するだけでなく、必ず1つ以上の代替案を出します。案はシンプルで実行可能なものにしましょう。
✖ 「このやり方じゃダメだ」
〇 「この作業を並行処理にすると、納期を2日短縮できそうです。試してみてもいいですか?」
② 宣言(Declaration)
誰が何をいつまでにやるかを言葉にします。宣言はチームの心理的安全と責任を高めます。
✖ 「できたらやります」
〇 「私がAの調整を担当して、明日17時までに初稿を共有します」
③ 質問(Question)
相手を理解するための質問は、攻撃ではなく探求の姿勢で。オープンな問いを心がけます。
✖ 「なんでこんなミスをしたの?」
〇 「その時どんな事情がありましたか?背景を教えてください」
④ 結論(Conclusion)
会話の終わりに合意事項をまとめ、次のアクションを明確にします。
✖ 「じゃあ、よろしく」
〇 「では、Aさんがデータ整理、Bさんが検証を担当し、5月10日までに結果共有します」
実践テンプレート — 使えるフレーズ集
- 提案:「〜という方法を試してみませんか?」
- 宣言:「私は〜をやります。期限は〜です」
- 質問:「その判断の理由を教えていただけますか?」
- 結論:「結論として、〜を実行します」
※否定や不満を言いたいときは、まず提案を1つ添えるだけで受け取られ方が劇的に変わります。
場面別サンプル会話(上司と部下)
場面:プロジェクトの納期遅延が見えたとき
部下:現在の進捗では納期が厳しいです。
上司:そうですか。どのタスクで遅れが出ていますか?(質問)
部下:データ整備に時間が掛かっています。並列処理が難しいです。(不満)
上司:並列化の代替案として、優先度の低い項目を後回しにし、明日までにAさんにサポートを依頼してみます。あなたはBの整備を続けてください。(提案+宣言)
部下:わかりました。Aさんに声をかけて、明日15時に状況報告します。(宣言)
上司:では、明日15時に再確認して、必要なら外部リソースを検討しましょう。(結論)
上司:そうですか。どのタスクで遅れが出ていますか?(質問)
部下:データ整備に時間が掛かっています。並列処理が難しいです。(不満)
上司:並列化の代替案として、優先度の低い項目を後回しにし、明日までにAさんにサポートを依頼してみます。あなたはBの整備を続けてください。(提案+宣言)
部下:わかりました。Aさんに声をかけて、明日15時に状況報告します。(宣言)
上司:では、明日15時に再確認して、必要なら外部リソースを検討しましょう。(結論)
実践チェックリスト
- 発言前に「目的(何を達成したいか)」を1文で整理する
- 不満を言うなら必ず1つの提案を添える
- 宣言は具体的に:誰が・何を・いつまでに
- 会話の最後に合意事項(結論)を復唱する
- 質問は相手理解を優先し、詰問は避ける
よくある誤解と対処
誤解:前進する話し方=上からの指示になる?
違います。宣言や提案はトップダウンだけでなく、ボトムアップの主体性を引き出すためにも使えます。重要なのは『意図を明確にすること』です。
誤解:感情を出すことは悪い?
感情を完全に消す必要はありません。ただし感情が行動につながる(具体的な次の一手)かを意識しましょう。感情表現の後に提案や宣言をつなげると効果的です。
導入のための短期アクションプラン(3ステップ)
- チームミーティングで本日から「提案」発言を1回以上ルール化する(1週間)
- 1日の終わりに「今日の結論」をSlackで共有する習慣を作る(2週間)
- 週次でチェックリストの振り返りを行い、改善点を洗い出す(1ヶ月)
まとめ
前進するコミュニケーションは、言葉の選び方を少し変えるだけで実務のスピードと質を高めます。提案・宣言・質問・結論の4要素を意識して、日常の会話を次の一手につなげましょう。

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